製作雑記② Sdkfz. 165/1編

製作雑記の2作目は、Sdkfz. 165/1です。本車は、ホイシュレッケの前身に位置付けられる試作車両で、1941年にクルップ社により製造されました。IV号戦車をベースに開発された車台に10.5cm leFH18/1 L28砲を搭載したもので、砲塔の取り外しと地上設置の機構こそないもののホイシュレッケとほぼ同じ仕様です。ホイシュレッケともども好きな車両ですが、キット化に恵まれず、かといってスクラッチのハードルも高く困った存在でした。そんな時に、M.G.M.の新作アナウンスがあり、大変興奮しました。

M.G.M.は、ボックスアートで損しているメーカーだと思います。本作も同様で、これをみて制作意欲がわく人は少数でしょう。特に、カバーで砲塔内部をオミットしているのが一目瞭然。購入しようか迷いました。

とはいえ、唯一無二の存在ですので、思いきって購入。パーツをみてから、しばらく放置することに決まりました。無垢のレジンの塊でシート付の砲塔が再現されているのですが、どう見ても形状がおかしい。当初は、このパーツを削り込んで作成しようかと考えていたのですが・・・。

砲塔に比べれば、車体部分は少し手をいれるだけで大丈夫そうです。そこで、思いきって砲塔部分をスクラッチすることを決断して、某日作業を開始しました。

図面を持ち合わせているわけではないので、webの写真等を参考にしながら、まず砲塔をプラバンで作成してみます。意外に複雑な形状をしており、試行錯誤の現物合わせを繰り返しながら、作業を続け、何とかイメージに近い形状になりました。ここまでが、最大のハードルだと思います。

大分形になってきました。社内の装備品としてシュマイザーや弾薬、水筒に飯ごうなどを取り付けると、少し実感が出てきて、よいインセンティブになります。先の見えないスクラッチ作業の場合、ステップバイステップで段階ごとに、ある程度の達成感を感じながら作業することが重要だと思います。ここまで強度を考えて、床板を1枚板で作成してきましたが、この段階で開口しています。

10.5cm砲を取り付け、いよいよ完成間近です。砲身は、基部はキットのパーツを削りこんで使用しています。砲塔部分で唯一オリジナルの部品を利用したことになります。他方、10.5cm砲は、キットのパーツはどうしようもない状態だったため、StugIII用にストックしていたアルミ製のアフターパーツから転用。やはり砲身がアルミ製の挽物に代わるだけで、印象が大きく変わります。社内の装備品はプライザーなどから援用しています。

今回、困ったのが砲尾部分です。このキットに援用できるパーツが見つからず、困っていたのですが、フジミ(旧日東化学)のIII突を所有していることを思い出しました。皆さんもご存じの通り、フジミのStug IIIは難物で、形状を修正するのは極めて困難。私も押入れの肥やし状態で放置していました。今回、このキットの製造に活用することが出来ました。

紆余曲折を経て、なんとか砲塔が完成しました。オリジナル部品と比較してみると、その差は歴然。改めて作業してよかったと思います。やはり、オープントップの車両は中が見える方が、圧倒的に魅力があります。この車両の特徴でもある砲塔の顎部分にワイヤーを回す部分も再現しています。

砲塔部分の作業のみ紹介していますが、パテの硬化を待つ時間などを利用して、車体部分の作業も並行しています。

ようやく形になりました。

細かい点を言い出せば切りがありませんが、自分としては、ミニスケールのSdkfz. 165/1として十分満足のできる水準に仕上がったと思います。

次はサーフェサーを吹いてから塗装作業に入ります。この車両は時期的に考えてPanzerglauの単色塗装ということになるでしょう。

サーフェイサーを吹き終わった段階。この状態で細かい気泡等が分かりますので、必要な措置を講じます。M.G.M.の場合は、特に注意が必要です。

いずれにしても、ここまで作業が進むと完成後がイメージしやすくなり、インセンティブが湧いてきます。